2012年9月24日月曜日

'’――本物を、ニセ物だと称して、

わたす。本物を、ニセ物だといつわって、使わせる――。’’
                      ― ニセ札つかいの手記 / 武田 泰淳 ―


市川 春子 / 虫と歌



   600 yen

   238 pages

   afternoon kc (講談社)












市川 春子 / 25時のバカンス

   620 yen

   240 pages

   afternoon kc (講談社)












「家族」に対する,異常とも取れる執着.
身体を切り取る.または,自身が部品となる.

2冊通して家族に対する,無償の愛が描かれる.
この自己犠牲の精神には反吐が出る.と云う訳もなく.

雰囲気漫画で一蹴されかねないですが,主題が明確なので,
嫌味無く読めます.寧ろ,絵柄が主題の重さや怖気を軽くしております.

中古市場では安定の価格低下が観測されております.
ええのんか.これええのんかアフタヌーンさん.



この所,お茶を喫する目的ではなく,
煙草を喫する為に喫茶店を探してしまいます.

本日は ondatrópica を聴きながらの喫茶でした.
中々,季節外れな気がするのでございます.

ondatrópica / suena





         

2012年7月15日日曜日

おまーん

こくさい.
オマーン国債.
おまーんこ臭い.

”かれのにあいしつまさきだちぬ
 彼の似合いし妻先立ちぬ
 枯野に愛し爪先立ちぬ”
     ― 円城 塔 / 考速 ―


八十八ヶ所巡礼 / SYG88





   2011/08/18

   37 min

   2,000 yen









久し振りのロック.ふざけたジャケットだけど,ゴリゴリ.
歌詞が暴力的に前向き.音もこれで三人とは思えない.


  shing02 & chimo beams も聴いてます.skillkills も tbh も良いね.


  本は岩波文庫倶楽部の部員として,少しずつ消化してます.
  漫画は松本次郎祭りです.




sbtrkt feat. yukimi nagano / Wildfire







               

2012年5月1日火曜日

“たっぷりと水を吸った

留袖の黒は一層色を深め、白い紋はくっきりと浮かび上り、金銀の青海波は、水の中で鮮やかに輝きを増していた。”
     ― 津村 節子 / 青海波 ―


森 薫 / 乙嫁語り 1



651 yen

192 pages

beam comix (enterbrain)










“ふんだんに刺繍の施された布は、時に貨幣以上の価値を持つ。作り手の社会的地位と帰属を表し、その人となりを物語る。特別な一枚は特に念入りに仕上げられ、受け継がれるその家族独自の文様には気が遠くなるほどの時間と手間と…………”


円城 塔 / 道化師の蝶



1,365 yen

178 pages

講談社










“世界中のどこかには、その刺し方をきちんと述べる言語が屹度あるのだろうが、わたしはあまり興味を持てない。幾何学模様を刺繍するのに、幾何学の知識は別に要らない。体が先に動くならば、頭を動かす必要はない。会話は指先で行えば足りる。”


クロード・レヴィ=ストロース / みる きく よむ


3,045 yen

210 pages

みすず書房











“ペルーの織物や他のタイプの衣類・装身具における、モチーフや色の配分について、ボアズがおこなった詳しい分析を検討しさえすれば、装飾のリズムの現実的な性質が明らかになる。いつでもどこでも組み合わせが重要なのである。その組み合わせに知的な次元での満足が結びついている。”



ランダムとパターンに相違は無くて、脳がノイズからパターンを抽出し変換している。
その脳の行う変換が身体性であると云うのを何処かで読んだのですが……

普段の生活において、個々人によって抽出/パターン化する部分が異なることは、
行為に適応する能力の差として現れるのかなぁ。

複雑な事象の当事者になることは自覚がなくとも容易ですが、
自覚しつつもぼんやりと眺めて全体を把握する能力が欲しいです。

そのためには多量の知識が必要になるのでしょう。
難しいことでございます。