2012年5月1日火曜日

“たっぷりと水を吸った

留袖の黒は一層色を深め、白い紋はくっきりと浮かび上り、金銀の青海波は、水の中で鮮やかに輝きを増していた。”
     ― 津村 節子 / 青海波 ―


森 薫 / 乙嫁語り 1



651 yen

192 pages

beam comix (enterbrain)










“ふんだんに刺繍の施された布は、時に貨幣以上の価値を持つ。作り手の社会的地位と帰属を表し、その人となりを物語る。特別な一枚は特に念入りに仕上げられ、受け継がれるその家族独自の文様には気が遠くなるほどの時間と手間と…………”


円城 塔 / 道化師の蝶



1,365 yen

178 pages

講談社










“世界中のどこかには、その刺し方をきちんと述べる言語が屹度あるのだろうが、わたしはあまり興味を持てない。幾何学模様を刺繍するのに、幾何学の知識は別に要らない。体が先に動くならば、頭を動かす必要はない。会話は指先で行えば足りる。”


クロード・レヴィ=ストロース / みる きく よむ


3,045 yen

210 pages

みすず書房











“ペルーの織物や他のタイプの衣類・装身具における、モチーフや色の配分について、ボアズがおこなった詳しい分析を検討しさえすれば、装飾のリズムの現実的な性質が明らかになる。いつでもどこでも組み合わせが重要なのである。その組み合わせに知的な次元での満足が結びついている。”



ランダムとパターンに相違は無くて、脳がノイズからパターンを抽出し変換している。
その脳の行う変換が身体性であると云うのを何処かで読んだのですが……

普段の生活において、個々人によって抽出/パターン化する部分が異なることは、
行為に適応する能力の差として現れるのかなぁ。

複雑な事象の当事者になることは自覚がなくとも容易ですが、
自覚しつつもぼんやりと眺めて全体を把握する能力が欲しいです。

そのためには多量の知識が必要になるのでしょう。
難しいことでございます。