2011年12月11日日曜日

"社会が

文芸を生むか、または文芸に生まれるかどっちかはしばらく措いて、いやしくも社会の道徳と切っても切れない縁で結びつけられている以上、倫理面に活動するていの文芸はけっして吾人内心の欲する道徳と乖離して栄える訳がない。"
― 夏目 漱石 / 文藝と道徳 ―


吉行 淳之介 / 原色の街・驟雨

460 yen

新潮文庫 (新潮社)

288 pages












"気に入る、ということは愛するとは別のことだ。愛することは、この世の中に自分の分身を一つ持つことだ。それは、自分自身にたいしての顧慮が倍になることである。"

自分の肉体と精神は、どちらが先にせよ自己で制御可能か。
乖離していると考えがちな事象も、器の形状に反映される。

また、文化的であり白痴的な部分も同居が可能。
そうは云っても、どちらが発露するかはハードに決定権がある。

そんな気がする昨今です。


lama / fantasy

lama / new! が凄い良い。

the beatniks / 25,000 rpms

高橋さんと鈴木さん……
良いけど、怖いよね。メンタル的に。


    

2011年9月4日日曜日

“こんな疲弊した山村

では淫売がむしろ快活な労働にもなるのだらうが、見るからに快活、無邪気、陽気で、健康な女がゐるのである。”
― 坂口 安吾 / 禅僧 ―


内田 百閒 / 百鬼園随筆


540 yen

新潮文庫 (新潮社)

362 pages











文庫本を片手に一人でだるまを呑む。酒をやると塩辛いものが食べたくなる。
ここは飲み屋なのだから、注文すればよい。しかし、品書きが悪い。

字面からでは一体どんな食べ物が出てくるか分かったものではない。
マリネ、カルパッチョなどと横文字が書き連なれているとたまったものではない。

そもそもマリネとカルパッチョの違いが判然としない。
ええいとマリネなるものを注文する。

給仕は此方の必死な振る舞いなどに気が付かないのだから始末が悪い。
ニヤリと笑いながら、これには葡萄酒が合う、などとのたまう。

私はだるまで充分だとも云えず、再度品書きと睨み合う羽目になる。
葡萄酒など数える程しか呑んだことはない。全く分からぬ。

片仮名を凝視していた所で埒が明かぬ。ちらりと給仕の顔を見るが澄ましたものだ。
如何ともし難い。自分の無知を曝け出すのも癪だから、適当に頼む。

そうすると、それは赤だ。魚だから白が良いと云う。
お手上げである。巻き煙草に火を点け、だるまで良いと答えるしかない。

端から宅で一杯やれば良いのである。
しかし、知己から「吝嗇家」と呼ばれてはそうもいかない。
それに反発するかの如く外で呑んでみればこの有様である。

私は吝嗇なのだろうか。
いや、単に自分の無知が人様に知れ渡るのが嫌なだけかも知れない。
それに先ず、人と顔を合わせるのが億劫で仕方が無い。

疲れてしまうのである。
これは金銭的な吝嗇家ではなく、精神的な吝嗇家なのではないのだろうか。
見知った輩ならば大丈夫か。そうでも無いらしい。如何ともし難い性質かな。

だるまを呑みながら一人でスルメを齧るのが良い。
卓に文庫本があれば満足なのである。

知己と顔を合わせるのも月に一度が良い塩梅である。
人嫌いでは食って行けぬだろうと云われるが、そうでもない。

必要最低限の会話はできるのである。
他人と顔を突き合わせるのが苦手ではないのか。

苦手である。しかし、どうでも良いのである。
気にならないのである。面白く無い輩は気にならないのである。

テレビジョンの話、博打の話、そうして女の話。
下世話にもならぬ、取り繕う話しぶりには辟易である。

粗暴な振る舞いが芯から来ておらぬ。
粗野な振る舞いをすれば事が思い通りに進むとでも考えているのだろう。

辟易である。その胡散臭さに辟易してしまう。
だるまが不味くなる。

芯からくる粗野とは如何なるものか。
近寄り難い行いか。それは違う。

早朝から酒臭く、昨晩の深酒が一目で分かる赤ら顔。
叱責されれば舌を打ち、眉根を寄せる。

その様な振る舞いを如何なる場面においてもしてしまう。
そういう輩が芯から来ている粗野な奴である。

取り繕う素振りなどもせぬものだから、此方も気が楽である。
だるまも美味く呑める。スルメの味も深みが増す。

胡散臭い輩が一番困る。参った、参った。


    

2011年8月12日金曜日

“蛇や熊とは

違い、死んだクロンボの皮を剥いでも金にはならず、肉を量って売るわけにもいかなかった。”
― toni morrison / beloved ―

芸能山城組 / 恐山 + 銅之剣舞



1994/10/21
39 min

2,345 yen






呪いと脱魂状態。神話と科学。
this is 恐怖。this is 神聖。

酔っている時にしか聴けない。
叫びから始まり、原始宗教音楽の融合に終わる。

ヘッドフォンを着けて聴くと、開始五秒で涙目です。
音楽で恐怖。音楽の呪い。



先日、芸能山城組を観てきました。
ビールが高かったです。

昼から夜まで音楽を堪能することが出来ました。
うん。音響がイマイチな気がしましたが、席のせいだと思います。















物を持つことに意義が無くなりつつある。
必要なのは集積層へ接続が可能となる端末。

記憶媒体は外部に存在する。それへと触れれる事が重要か。
検索をする。この行為自体が、それ自体で完結する場合がある。

検索と思考は異なる。考え続けるしかない。
情報はinformationではなくintelligenceであると意識する。

肉体に刻み込まれた文字/言葉/情景/印象。
それらが全て思考過程に影響を及ぼす。

大切なのは、積み上げる事。
微小な物事を経験し、蓄積して行く事。

“今であること、ここであること、ぼくがヒトであり、他のヒトとの連鎖の一点に自分を置いて生きることなどは意味のない、意識の表面のかすれた模様にすぎなくなり、大事なのはその下のソリッドな部分、個性から物質へと還元された、時を越えて連綿たるゆるぎない存在の部分であるということが、その時、鮮やかに見えた。”
― 池澤 夏樹 / スティル・ライフ ―

william parker + gullermo e brown / victor game


恐山を聴いてみようと感じた方は是非検索を。


2011年7月30日土曜日

“世界は、サンプリングやカットやリミックスの

素材であることをやめて、その真実の姿をあらわした。”
               (内海 文三 / 裸者と裸者)

WhoSampledと云うサイトをご存知でしょうか。


sampling の元ネタが調べられるサイトです。便利です。

web上でコラージュ問題が話題ですね。
what is collage?

“私たちの社会は、異邦のコードであれ、あるいは異国風のコードであれ、あらゆるコードに対して生き生きとした関心を示している。しかし、それは破壊的な、いわば死臭を漂わせる関心なのである。”
               (ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガダリ / アンチ・オイディプス)

既存の作品を変換/加工する装置がサンプリングでしょうか。
価値を引用することはオマージュとかインスパイアとかパロディとか……

難しいです。what is inspiration/霊感?

“あらゆる言語は象徴のアルファベットであり、それを使うことは対話者がひとつの過去を共有しているということが前提になる。”
               (j.l.ボルヘス / エル・アレフ)

過去の共有=過去の引用、とは思いますが、印象の共有は可能なのでしょうか。
また、言語によって世界の切り分け方は異なるそうです。

“われわれはつい、言語と無関係に、世界ははじめから個々の事物(言語の指示対象)に区別されているもの、と思いこみがちだ。ところが、そんなことはないので、言語が異なれば、世界の区切り片も当然ことなるのだ。”
               (橋爪 大三郎 / はじめての構造主義)

母国語が共通していても、ある単語が個々人に与える印象は異なるはずです。
それは個々人の経験に依存し、処理してきた事象が異なるからでしょう。

人は機械なのだから、処理する方法は単一であり、入力される値も同じだ。
そりゃ集合全体を見れば、単一になるだろうけど……


と、もやもやしながら鷲宮神社に出かけてきました。

らき☆すたの聖地です。凄いね。
聖地。

“生き残った人々は何の統制もない烏合の衆として、「地区」に辿り着けば何とかなるという微かな望みだけを頼りに歩き続けた”
                    (吉村 萬壱 / バースト・ゾーン)




















歩いて行けるかな。半時間くらいのようだし。と四時ごろに出発。
私と待ち合わせしたことがある方ならご存知でしょう。

案の定迷子になりました。一時間以上歩きました。
途中、ロッテリアで半額のシェイクを飲みながら帰宅を考えました。

ここまで来て引き返すのはダメだと思い、頑張りました。
普通の神社でした。駐車場には凄いカラフルな車もありました。

神楽舞台があって驚きました。神楽は観てみたいです。
神楽は大きめの神社でも、廃れてしまったものが多いようです。

神社に行こうと思い立たせてくれた(問題の)コラージュ作品
what is chaos?













元ネタ先が分からないの多いです。
もやもやしながらの散歩は良いですね。

検索に時間を割かれないので、もやもやが持続します。
お土産も買いました。イケメンに押し付けようと思います。


   

2011年7月28日木曜日

想像の

方が、妄想の方が、まだマシでした。
どこかのベタな映画、漫画、真っ青でした。


レイ・ハラカミ / 暗闇の色 colors of the dark


2006/07/12

35min

2,100 yen





日本科学未来館に在る、megastar-II cosmos(プラネタリウム)。
その投影中に流れる音楽です。

ぬらぬらとした、漆器の様な黒を思い浮かばせる音楽です。
蝉時雨の様に、流れていることに気付かせない。

rip


   

2011年7月16日土曜日

誰からも

目を逸らされ、見ず知らずの奴になんか教えるもんかよ。
個人情報。

他人の人生に対する想像力。
それが詩的な事は少ない。結局、自分が大事。

そんな人には出来る限り成りたくないと、
そう、思う所存です。


みみみ / みんなのうたりん

2010/07/22

0 yen

34 min







民族的な曲に始まり、アンビエントに終わる名盤。
移動型音楽習慣と名付けました。縦横無尽に、移動速度は知覚できない。

表層は、研ぎ澄まされる。深層は、滑らかに削られる。
浮遊する聴覚。堆積する視覚。

視点が合わなく成るほどに、聴覚に集中してしまいます。
美しいかな、悲しいかな、切ないかな、逞しいかな。

必聴な netlabel である maltine records からリリースされております。
この質の曲を無料で出されると、困っちゃいますね。素晴らしい。




川上 弘美 / 真鶴

540 yen

文春文庫 (文藝春秋)

271 pages







幽霊、幻覚。錯乱、第六感。
場の持つ力場。磁場、電場、重力場。

空間を伝播するそれらをどう知覚しているのか。
彼岸に近づくことがそれなのか。

詩的な文章。美しきかな、それらの散文。
空間を、場面を切り取るのではなく、視覚を間隔を切り取る。

霧散する間隔。連続である自己。
記憶は断片。現実は、実時間は連続。

連続の集積であるはずの自分。自分の疑似的複製である、子供。
親の疑似的複製である、自分。家族。愛する。隔たる。他者。

散文的で詩的な美しい文体。
彼岸と此岸を往き来する間隔。酩酊。


経験は何物にも変え難い。
思考のみが変質を与える。

小難しいことは抜きにしましょう。
薄ら笑いを浮かべましょう。あなたの完全勝利です。


   

2011年7月3日日曜日

とりとめがないの!

これも入れればよかった。
あなたの話はいつも主語が無いの!


友人の素晴らしい添削を目にして、
シンゴママと 02 の会話が思い出される。

私の作成時間の倍は費やしてくれてるなぁ。
申し訳なく思い、両手で顔を覆う。

ふと立ち寄った小洒落たレストランが妙にお高くて、
一番安いパスタを渋々注文する。

三十分ほど待ち、皿に盛られたソレを巻き取り口に運ぶ。
おいしーい。トレビアーン。そんな感じです。

そんなトレビアーンな彼がお怒りになられるほどの…
駄文でございました。申し訳ありません。


red snapper / making bones


1998/09/28

2,800 yen

55 min






label は warp から、electronic に分類されます。
歌物も含まれているので聴きやすいと思います。

一曲目からぶっといベースを唸らさせゴリゴリです。
m1: the sleepless



最近は沖至かこの一枚を聴いております。
本は読んでおりますが、新しい方は発掘しておりません。


   

2011年5月1日日曜日

ステージに

上がる階段で躓いた時、その内の一人と目が合った。
君は其処に先週の自分を見なかった?

土屋 雄民 / ガギグゲキッコ

760 yen

ikki comix (小学館)

288 pages







理想と現実の乖離。その隔たりは遠いのか、近いけど深いのか。
ところで理想はどこにあるんだ。後ろか前か、はたまた左右か。

仕事は無いが、理想は有る。口に出せと言われると困るけれど。
そんな主人公の前に、理想が現れた。こいつは手ごわい。

何が手ごわいって、そいつは全部持っていた。
自分の持って無いもの全部持っていた。

だけれど同じ姿じゃないか。なぜ私はダメで、お前はステキなんだ。
同じ姿でなぜこうも違う?この野郎。泣いちゃうぞ、馬鹿野郎。

ロックな漫画です。とりあえずギターが弾ける様になりたい。
その願望。「似合うじゃん」の一言がきっかけだけれども。

もやっとした日常に現れた理想的なもう一人の自分。
嫉妬と憧れが同居する。女らしくて男にもモテる。

ちょっと待て。理想。アレに成りたいのか。違う。ギターが弾きたいんだよ。
認めてくれたから、認めてやりたいんだよ。自分でギターが弾ける様になった自分を。

理想に成れる成れないは関係ない。やりたい事が出来るようになりたいんだ。
泣いたって、笑えなくたって、喧嘩したって、やりたい事をやるんだ!

ロックな漫画です。姿勢がロック。ギターじゃなくても良いじゃない。
やりたい事をやりましょう。そう言ってくれてます。



やっぱり嬉しいよね。どんどん絵が上手になってくね。
身内びいきと言われましたら、返す言葉は御座いませんが。

こちらで第一話が試読できます。是非。



最近、夜にipodで音楽を聴きながら走っています。


リピートで聴きながら走ると良いです。
すごい走れます。なぜか走れます。頑張ります。よろしくお願いします。


   

2011年1月23日日曜日

薄っぺらい

携帯電話で.薄っぺらい友達と会話.
smart phone は未だ買いません.昨年の夏に替えちゃったので.

キーボードが付いている htc desire z が素敵です.
portable music player も ipod を使い倒します.

netlabel 恐るべし.容量足りない.



various artists / elect-lo-nica compilation

2001/01/20

0 yen

97 min







コンピレーションの意味を考えさせられます.良い意味で.
アンビエントあり,テクノあり,エレクトロニカあり.素晴らしい.

bunkai-kei records 主催で comic lo にインスパイアされて作製.
インスパイアの意味を考えさせられます.良い意味で.

bunkai-kei records は今回初めて知りました.
他の作品も聴きたいと思います.

bunkai-kei records

elect-lo-nica compilation



midori hirano / poet at the piano

2009/03/26

0 yen

15 min







素敵ピアニスト midori hirano さん.
net label である soundzfromnowhere より発表曲.

浮遊感漂う曲ばかり,素敵ソング.短いのが残念.
これ聴きながら歩いているとおかしくなります.良い意味で.

アンビエントで素敵な四曲.
soundzfromnowhere はジャケットも曲も秀逸です.

soundzfromnowhere

midori hirano / poet at the piano




正直,電子音楽関連は netlabel の勢いが凄い.
mix なら fact magazine で毎週聴けます.

容量が足りなくもなります.
本当に elect-lo-nica compilation には驚かされました.
本当に良い意味で凄かった.一聴すべきです.