2013年9月1日日曜日

“おまえ、この爛漫と咲き乱れている桜の樹の下へ、

一つ一つ屍体が埋まっていると想像してみるがいい。何が俺をそんなに不安にしていたかがおまえには納得がいくだろう。”
― 梶井 基次郎 / 桜の樹の下には ―


釣崎 清隆 / 世界残虐紀行 死体に目が眩んで



   630 yen

   259 pages

   幻冬舎 アウトロー文庫 (幻冬舎)











“タイ人は死体と対等に付き合っている。タイ人は意識共同体の中に死体をも組み入れて社会を機能させている。”

“愛は両刃の剣だ。愛のためには人を殺す強さを獲得し、悲しむ優しさを保つことができる。”


G・ガルシア=マルケス / 予告された殺人の記録



   452 yen

   158 pages

   新潮文庫 (新潮社)










“「おれたちは殺すつもりで殺しました」とペドロ・ビカリオは言った。「だけど、おれたちに罪はない」
「神の前ではたぶんそうでしょう」とアマドール神父は言った。
「神の前だって人の前だっておんなじだ」とパブロ・ビカリオが言った。「あれは名誉の問題だったんだ」”

“頭蓋の半分は、開頭術を施されてめちゃくちゃになり、死んでからも保たれていた男前の顔は、今や見分けがつかなかった。しかも神父は、ずたずたになったはらわたを元から引き抜いたものの、結局どうしていいか分からず、腹立ちまぎれに祝福を施すと、それをゴミ捨て用の桶に放り込んでしまったのだ。”


文化的差異による死体に対する認識が面白い.
儀式としての葬式の前が共に描かれている.

物体としての死と過程としての死は明確に異なるが,
どちらも記録される意味合いは集合の安定補間の為.

徳を積むことや名誉を主張することで,
死そのものに対する集団の恐怖心を和らげている印象.



シリアどうなるんですかね……
長期化するんですかね……

艦隊これくしょん流行ってるね……
パズル&ドラゴンはどうなるの……

増幅装置としてのSNSは凄く理解できます.
電子軍のやりたい事も理解できます.

今までの携帯ゲームは出会いと云うネットワーク外部性を利用し,
利用者を増加させる方法を選んでいた様に見受けられます.

艦これとパズドラはその要素を排している製品ですね.
あくまでface bookやtwitter等で話題としてあげられる程度です.

意図的にsnsへの露出は行っているのでしょうが,
発言はプレイヤーの意思に判断を委ねています.

この広告費が実質タダというのは凄いと思います.
全てがアーカイブ化されるのがsnsです.

アーカイブ化された事象は同じタグがつけられていれば,
情報の価値として有用と判断される.

本来は,その事象そのものには価値が無く,
事象を発生させた要因を考察すべきなのでしょう.

その要因も小集団の相関から生じるもので,
小集団は地域・宗教・知識などから複合的に構成されますし.

今後のシリア情勢も情報の面で長期化しそうですね.
エジプトの様に.

むつかしいね.むずかしいね.むづかしいね.


    

2013年5月19日日曜日

“十二のときかれは、

自分のまわりでこれまで何人の人間が死んだのか数えてみようとしたことがある。”
― 弦月 / 舞台役者の孤独 ―

quartz-head 01 / sen-tence




   2006/06/21

   74 min

   2,300 yen









sax 奏者の藤原 大輔氏のエレクトロjazz作品.
全く存じ上げない方であり,久々の掘出物でした.

blue noteから出している作品も既に注文済み.
発売停止している為,中古で購入.

2005年頃に一時ブームがあった,acid jazz等の時期に出ており,
中古市場では非常に安い値段で売られております.




meiso / 夜の盗賊




   2009/12/09

  63 min

  2,500 yen








根暗とは異なり,内政的な叙述詩の様な赴き.
聞き取り易い声と,メロディアスなトラック.

michitaとの共作でご存知な方も多いかも知れません.
最近,新アルバムも出されております.


phat / date





meiso / 不響和音






     

2012年9月24日月曜日

'’――本物を、ニセ物だと称して、

わたす。本物を、ニセ物だといつわって、使わせる――。’’
                      ― ニセ札つかいの手記 / 武田 泰淳 ―


市川 春子 / 虫と歌



   600 yen

   238 pages

   afternoon kc (講談社)












市川 春子 / 25時のバカンス

   620 yen

   240 pages

   afternoon kc (講談社)












「家族」に対する,異常とも取れる執着.
身体を切り取る.または,自身が部品となる.

2冊通して家族に対する,無償の愛が描かれる.
この自己犠牲の精神には反吐が出る.と云う訳もなく.

雰囲気漫画で一蹴されかねないですが,主題が明確なので,
嫌味無く読めます.寧ろ,絵柄が主題の重さや怖気を軽くしております.

中古市場では安定の価格低下が観測されております.
ええのんか.これええのんかアフタヌーンさん.



この所,お茶を喫する目的ではなく,
煙草を喫する為に喫茶店を探してしまいます.

本日は ondatrópica を聴きながらの喫茶でした.
中々,季節外れな気がするのでございます.

ondatrópica / suena





         

2012年7月15日日曜日

おまーん

こくさい.
オマーン国債.
おまーんこ臭い.

”かれのにあいしつまさきだちぬ
 彼の似合いし妻先立ちぬ
 枯野に愛し爪先立ちぬ”
     ― 円城 塔 / 考速 ―


八十八ヶ所巡礼 / SYG88





   2011/08/18

   37 min

   2,000 yen









久し振りのロック.ふざけたジャケットだけど,ゴリゴリ.
歌詞が暴力的に前向き.音もこれで三人とは思えない.


  shing02 & chimo beams も聴いてます.skillkills も tbh も良いね.


  本は岩波文庫倶楽部の部員として,少しずつ消化してます.
  漫画は松本次郎祭りです.




sbtrkt feat. yukimi nagano / Wildfire







               

2012年5月1日火曜日

“たっぷりと水を吸った

留袖の黒は一層色を深め、白い紋はくっきりと浮かび上り、金銀の青海波は、水の中で鮮やかに輝きを増していた。”
     ― 津村 節子 / 青海波 ―


森 薫 / 乙嫁語り 1



651 yen

192 pages

beam comix (enterbrain)










“ふんだんに刺繍の施された布は、時に貨幣以上の価値を持つ。作り手の社会的地位と帰属を表し、その人となりを物語る。特別な一枚は特に念入りに仕上げられ、受け継がれるその家族独自の文様には気が遠くなるほどの時間と手間と…………”


円城 塔 / 道化師の蝶



1,365 yen

178 pages

講談社










“世界中のどこかには、その刺し方をきちんと述べる言語が屹度あるのだろうが、わたしはあまり興味を持てない。幾何学模様を刺繍するのに、幾何学の知識は別に要らない。体が先に動くならば、頭を動かす必要はない。会話は指先で行えば足りる。”


クロード・レヴィ=ストロース / みる きく よむ


3,045 yen

210 pages

みすず書房











“ペルーの織物や他のタイプの衣類・装身具における、モチーフや色の配分について、ボアズがおこなった詳しい分析を検討しさえすれば、装飾のリズムの現実的な性質が明らかになる。いつでもどこでも組み合わせが重要なのである。その組み合わせに知的な次元での満足が結びついている。”



ランダムとパターンに相違は無くて、脳がノイズからパターンを抽出し変換している。
その脳の行う変換が身体性であると云うのを何処かで読んだのですが……

普段の生活において、個々人によって抽出/パターン化する部分が異なることは、
行為に適応する能力の差として現れるのかなぁ。

複雑な事象の当事者になることは自覚がなくとも容易ですが、
自覚しつつもぼんやりと眺めて全体を把握する能力が欲しいです。

そのためには多量の知識が必要になるのでしょう。
難しいことでございます。



2011年12月11日日曜日

"社会が

文芸を生むか、または文芸に生まれるかどっちかはしばらく措いて、いやしくも社会の道徳と切っても切れない縁で結びつけられている以上、倫理面に活動するていの文芸はけっして吾人内心の欲する道徳と乖離して栄える訳がない。"
― 夏目 漱石 / 文藝と道徳 ―


吉行 淳之介 / 原色の街・驟雨

460 yen

新潮文庫 (新潮社)

288 pages












"気に入る、ということは愛するとは別のことだ。愛することは、この世の中に自分の分身を一つ持つことだ。それは、自分自身にたいしての顧慮が倍になることである。"

自分の肉体と精神は、どちらが先にせよ自己で制御可能か。
乖離していると考えがちな事象も、器の形状に反映される。

また、文化的であり白痴的な部分も同居が可能。
そうは云っても、どちらが発露するかはハードに決定権がある。

そんな気がする昨今です。


lama / fantasy

lama / new! が凄い良い。

the beatniks / 25,000 rpms

高橋さんと鈴木さん……
良いけど、怖いよね。メンタル的に。


    

2011年9月4日日曜日

“こんな疲弊した山村

では淫売がむしろ快活な労働にもなるのだらうが、見るからに快活、無邪気、陽気で、健康な女がゐるのである。”
― 坂口 安吾 / 禅僧 ―


内田 百閒 / 百鬼園随筆


540 yen

新潮文庫 (新潮社)

362 pages











文庫本を片手に一人でだるまを呑む。酒をやると塩辛いものが食べたくなる。
ここは飲み屋なのだから、注文すればよい。しかし、品書きが悪い。

字面からでは一体どんな食べ物が出てくるか分かったものではない。
マリネ、カルパッチョなどと横文字が書き連なれているとたまったものではない。

そもそもマリネとカルパッチョの違いが判然としない。
ええいとマリネなるものを注文する。

給仕は此方の必死な振る舞いなどに気が付かないのだから始末が悪い。
ニヤリと笑いながら、これには葡萄酒が合う、などとのたまう。

私はだるまで充分だとも云えず、再度品書きと睨み合う羽目になる。
葡萄酒など数える程しか呑んだことはない。全く分からぬ。

片仮名を凝視していた所で埒が明かぬ。ちらりと給仕の顔を見るが澄ましたものだ。
如何ともし難い。自分の無知を曝け出すのも癪だから、適当に頼む。

そうすると、それは赤だ。魚だから白が良いと云う。
お手上げである。巻き煙草に火を点け、だるまで良いと答えるしかない。

端から宅で一杯やれば良いのである。
しかし、知己から「吝嗇家」と呼ばれてはそうもいかない。
それに反発するかの如く外で呑んでみればこの有様である。

私は吝嗇なのだろうか。
いや、単に自分の無知が人様に知れ渡るのが嫌なだけかも知れない。
それに先ず、人と顔を合わせるのが億劫で仕方が無い。

疲れてしまうのである。
これは金銭的な吝嗇家ではなく、精神的な吝嗇家なのではないのだろうか。
見知った輩ならば大丈夫か。そうでも無いらしい。如何ともし難い性質かな。

だるまを呑みながら一人でスルメを齧るのが良い。
卓に文庫本があれば満足なのである。

知己と顔を合わせるのも月に一度が良い塩梅である。
人嫌いでは食って行けぬだろうと云われるが、そうでもない。

必要最低限の会話はできるのである。
他人と顔を突き合わせるのが苦手ではないのか。

苦手である。しかし、どうでも良いのである。
気にならないのである。面白く無い輩は気にならないのである。

テレビジョンの話、博打の話、そうして女の話。
下世話にもならぬ、取り繕う話しぶりには辟易である。

粗暴な振る舞いが芯から来ておらぬ。
粗野な振る舞いをすれば事が思い通りに進むとでも考えているのだろう。

辟易である。その胡散臭さに辟易してしまう。
だるまが不味くなる。

芯からくる粗野とは如何なるものか。
近寄り難い行いか。それは違う。

早朝から酒臭く、昨晩の深酒が一目で分かる赤ら顔。
叱責されれば舌を打ち、眉根を寄せる。

その様な振る舞いを如何なる場面においてもしてしまう。
そういう輩が芯から来ている粗野な奴である。

取り繕う素振りなどもせぬものだから、此方も気が楽である。
だるまも美味く呑める。スルメの味も深みが増す。

胡散臭い輩が一番困る。参った、参った。